昨日に続き、住宅ローンの金利プランについて触れてみたいと思います。
昨日の記事はこちらから⇒
「不動産屋さんから「変動金利の方がよい」といわれたのですが」
さて、本日も実は住宅ローンのことで多くの方が誤った理解をされていることについて書きたいと思います。
先日のご相談にお越しいただいたクライアントさんがこのような事をおっしゃていました。
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住宅ローンは変動で借りようと思います。
なぜなら「変動プランの金利が上がったら固定プランに変更したらいいですよ~」って不動産屋さんに教えてもらいました。
今は金利が低いから変動金利プランで借ります!!
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それを聞いたとき、その顔も知らない不動産屋さんの営業マンのいい加減なアドバイスに怒りを覚えました(笑)
そして、それを疑いなく信じきってしまっているご相談者を目の前にして、われわれFPがもっと頑張らねば・・・と決意新たに。
それはさておき。
現実に、変動で借りている人が、金利上昇したから固定金利に変更することができるのか?
ちょっとここを考えてみたいと思います。
住宅ローンの仕組みでは、もちろん変動金利から固定金利への金利プランの変更は全く可能です。
ただし・・・
たとえば、現在の状況で・・・
某地方銀行での2018年10月の金利をモデルに見てみます。
①変動金利が0.675%
②25年固定が1.000%
たとえば借入残高が3,000万円、残期間30年、元利金等返済と想定しましょう。
毎月の返済額は以下の通りです。
①92,078円
②96,491円(+4,413円)
さて、変動金利が上昇したと想定します。
たとえば、いつの間にか金利が上昇して1.000%くらいになりました。
そうすると・・・返済額は以下のようになります。
①´96,491円
②の固定金利はといえば・・・
もちろん変動が上昇したということは、固定金利プランでも金利上昇します。
単純に変動金利の金利上昇分と同じく、0.325%が固定金利でも上昇したと想定します。
そうすると②の返済額は以下のようになります。
(適用金利1.325%)
②´101,035円(+4,544)
変動が上がったから固定に変更するということは・・・
①の返済額92,078円
②´の返済額101,035円(+8,957)
へ自ら変更することになります。
ちなみに、変動のままとどまれば・・・
返済額は①´96,491円となり上昇分の負担額は4,413円で済みます。
+4,413円の負担増で済んでいる物を自らすすんで+8,957円の負担増へ変更できるでしょうか?
中には決断できる方も居られると思いますが、きっと多くの方は、「また下がるかも?」という淡い期待で、とりあえずそのまま変動プランにしておこうか・・・と考えられる方が大半なのではないかと思っています。
このように、「変動プランでも金利が上昇すれば固定金利に変更すればいい」という考え方は、少し安易に考えているように思います。
この考え方も確かに一つの考え方ですが、ぜひ現実的にどうのようなことが起るのかもしっかり想像力を働かせて、判断するようにしていただきたいものです。